2011年には、東塔を覆う素屋根が完成2012年9月からは、東塔の瓦がはずされる工事が始まりました。その瓦をはずす工事の中で次のことがわかりました。総瓦枚数 33,600枚・内平瓦 17,000枚この17,000枚の内、名前等が釘書きされた瓦(寄進名瓦)が、4,815枚見つかりました。
その内の345枚(平成25年10月現在)に長野県下の小・中・高等学校名が釘書きされていたことがわかりました。学校名があったのは長野県だけでした。
昭和27年、昭和の大修理の際に、奈良県国宝保存連盟の呼びかけに応えた県下の子どもたちや先生方が学校ごとに寄付を行い、瓦に学校名が釘書きされました。
薬師寺とのつながりや、寄付を行った方々の思いを知り、生きる教材として学校に残してほしいという思いから「縁の瓦」として里帰りを行っています。
■ 「里帰り」の取組 PDF
平成25年度第4回臨時総会で「薬師寺東塔の瓦に関する決議(案)」が決議されました。
この決議の概要は、今後再び東塔にのることができない瓦については、該当する各学校に「里帰り」させていただくような働きかけを関係各機関にしていき、「里帰り」実現まで取組を継続していくというものでありました。(雑誌「信濃教育」第1530号参照)
国宝建造物の修復の際に、瓦の新たな寄進はできないことから、その後の取組は、60年前文化財を大切にするために奈良県からの呼びかけに応えて募金した児童生徒から学び、その心を後世に伝えるという目的に添って、中学校修学旅行の事前学習としての薬師寺関係者による講演会や薬師寺食堂(じきどう)復興に関わる「瓦笥(かわらけ)」の寄進の紹介をしました。
なお信濃教育会として平成27年度第2回臨時総会で決議された「薬師寺食堂復興屋根瓦の寄進(案)の決議」に基づいて、10月に鬼瓦一基と平瓦一枚を寄進しました。
■薬師寺東塔「縁の瓦」里帰り式の開催
平成28年夏、これまでの信濃教育会の取組や当時の子どもたちの募金にかけた篤い思いが関係者の心を動かし、県内校名釘書き瓦の内、不再用となった瓦については粉砕処分ではなく、「里帰り」が実現することになりました。
平成29年7月11日に「薬師寺東塔『縁の瓦』里帰り式」を開催いたしました。
里帰り瓦の該当校95校の代表者が出席し、薬師寺長老山田法胤様はじめ6名の来賓をお迎えし、信濃教育会館講堂で行われました。
■里帰り瓦の学習
里帰り該当校では、瓦の紹介や展示、学習が始まっています。
信濃教育会では今後359枚(平成29年7月11日現在)の校名等が釘書きされた瓦のすべての該当校に瓦裏面写真のデータを配布しました。
■令和の里帰り ※詳細は『信濃教育』1596号に掲載しています。
令和2年7月、修理の最終段階で再使用する予定だった瓦の中から、反りや形状が合わない等の理由で再使用できなくなった瓦57枚が里帰りをしました。
57枚の「縁の瓦」は、会長はじめ、職員によって対象となる学校に届けられました。
■里帰りの経過報告 PDF
平成27年度に取り組んだものです。食堂は平成29年5月26日に完成いたしました。